こんにちは、キムチャです。
◆この記事は下記を知りたい人に役立つと思います。
- 受注タイプの設計者の仕事の一連の流れ
✔本記事の内容
目次
- 仕様打ち合わせ
- 提案・見積もり
- 詳細・仕様打ち合わせ
- 人員確保
- 構想・基本設計
- 詳細設計
- 部品手配
- 試作評価
- 立会
- 量産設計・動作確認
- 納品資料作成
- 立会(量産品)
- 納入
- アフターフォロー
- まとめ
1.仕様打ち合わせ
顧客から会社に問い合わせが来て話が進むと、こういうものが作りたいが製作できるか詳細な打ち合わせになっていきます。営業と技術が一緒に打ち合わせに出向いて技術的に可能なのか確認しながら話を進めます。議事録を取りながらお互いに齟齬がないようにします。現時点で技術的に7割以上できる内容でなければ、物ができなかったり納期に間に合わないなど出てくる可能性があるので気を付けましょう(あまりチャレンジし過ぎない)。
2.提案・見積もり
打ち合わせ内容で提案できるところはしておきます。すべてを顧客の言うとおりにやろうとすると、もっと楽にできる方法があった等、後で痛い目を見たりします。なので事前にお互いにとって楽にできる案を提案します。技術者から大体これぐらいの工数や原価が掛かるという算出をし見積もりとして上司や、営業と話し合い顧客に提出します。工数は失敗や入手しづらい部品などを考えて、安全に納入できる設定にしましょう。
3.詳細・仕様打ち合わせ
上記、2項をもとに詳細な打ち合わせを行います。顧客から仕様が出てきたら熟読して不明点は質問しましょう。忘れないように議事録を取りましょう。後で不明点や問題が出てきたときは、都度連絡や打ち合わせを蜜にとって齟齬がないようにしていきます。追加の仕様が入ったりすることも間々あります。
場合によっては、顧客からの口頭やメールベースでの仕様連絡があったりするので、それも記録に残るようにしておきましょう。顧客からの仕様をかみ砕いて、社内用の仕様書を作成することもあります。

4.人員確保
仕様・見積もりで想定された人員、分担を決めていきます。機械設計、プリント基板ベース回路設計、ソフトウェア設計、FPGA設計などです。作成物や会社によってプロジェクトリーダー(以下PL)が誰なのか変わってきます。
例えば機械設計の比重が大きい産業用機器などであれば上流工程でもあるので機械設計者がPLになると思います。プリント基板回路設計がメインであればその人がPLになるかと思います。
PL主導の元、各担当者と仕様の確認やスケジュール調整などを考えていきます。
5.構想・基本設計
仕様をもとにデザイン、機械図、ブロック図、フローチャート、タイムチャートなど詳細設計の元となる設計を行っていきます。各担当者間でコミュニケーションを取り、問題ない設計になっているか確認します。顧客にも説明して見てもらい、問題や修正点などないか確認していきます。
6.詳細設計

5項をもとに詳細設計をします。設計どおりの図面やプログラミングを作成していきます。
機械設計であれば組立図を描き
- 物同士の干渉はないか
- 基板やケーブルの取り付けに問題はないか
- 4力(材料、流体、温度、機械力学)に関しては大丈夫か
- EMC(電磁波ノイズの授受)耐性の考慮
- 振動耐性の考慮
回路設計であれば回路図やケーブル図面を描き
- 電源容量に不足はないか
- 必要な信号線は抜けていないか
- 電力、電圧、電流ディレーティングは問題ないか
- 性能が担保できる設計になっているか
- プリント基板への部品実装において問題ないレイアウトができるか
ソフトウェア設計であれば
- 機能の漏れがないように実装できるか
- ROM容量に収まるか
- 処理速度に問題ないか
- 使いやすさを考慮できているか
等です。
今まで使用したことないような部材を使用するときは部品メーカーと打ち合わせして必要な機能・性能を満たすなるべく安く、短い時間(リードタイム)で入手できる部品を選定します。場合によっては評価品を借りて事前評価しておきます。
※リードタイムが掛かりそうな希少な部材は先行手配を進めておきましょう。また評価に必要となる治具の製作が必要であればそれも設計します。
7.部品手配
作成した図面等をもとに必要になる部品表を作成していきます。
機械設計だったらバラシ図面(各部の寸法が乗ったパーツ図面)で手配をしていきます。
回路設計だったら回路図から部品リストから部品手配を行っていきます。ケーブル図面もプリント基板製作も行います。自身でやるか外注するか決め(大体は外注になると思いますが)、指示書を作成します。定電圧デバイス、高速な信号を使用していればシミュレーションで問題ないかチェックしてもらった方が動作のリスクヘッジとなります。
ソフトウェア設計ならば、評価時のテストプログラムを作成したりします。
8.試作評価
部材手配中に評価項目を作成しておきます。
試作品が届いたら、個別に問題がないか確認します。
機械設計は組み立てを行い干渉がないか確認します。
回路設計はプリント基板を目視してはんだ付けに問題がないか確認します。電源とGNDがショートしていないか確認して電源を投入します。電流値が異常に高くなっていないか、部品が異常に高温になっていないか確認します。マイコンのROMやFPGAのコンフィグROMに書き込みを行います。再び電流値や部品の熱を確かめます。
検査項目に沿って機能・性能を確認して記録していきます。問題点がある場合は記録を残して次回作にフィードバックできるようにします。問題点を見極めたら、うまく動作するように改造します。
9.立会
顧客に立ち会ってもらい現状の動作の状態を確認してもらいます。指摘があればそれを次回作に反映します。提案があればそれを伝えましょう。
10.量産設計・動作確認
試作での問題点や顧客からの指摘等を盛り込んで量産設計を行い、動作確認を行います。ここでの大きなミスなどで作り直しになると時間ロス、損失が出てしまいます。
また製造現場への指示書、検査項目書作成など必要となります。
※設計の規模や、会社の方針によって量産までの試作回数が変わってきます。
11.納品資料作成
納品用に製品についての仕様書等の資料を作成します。使用方法、寸法、スペック、使用環境など記載します。設計に必要な図面、データ等も納品用にまとめます。
12.立会(量産品)
顧客の前で動作、性能確認をしたりします。うまくいかないと作り直しで納期遅延、損害が出たりすると罰則金が発生したりします。
13.納入
漸く納入となります。サービスマンや製造現場、設計者が現地に赴いて設置、設定、説明をしたりします。
巨大な産業機器の場合、現地への搬送、搬入に梱包治具が必要になったり、分割できるような形にしておかないと、搬送、搬入できない等、問題が起きたりしますのでその辺も上流工程のうちに考慮しておきます。

14.アフターサービス
納入後に動作不良が起きることがあります。保証期間内であれば無償で交換したり、修理したりします。簡単な問題点であればサービスマンへの電話連絡等で対処可能だったりします。設計不良などであれば設計者も現地に赴いたりして不具合対応にあたったりします。
15.まとめ
設計者は設計だけなく、上流から下流工程に渡り関わっています。会社や自分の働き方によっては、納期に間に合わせるため多くの残業をするはめになったりします。上流工程が遅れると後工程にも響きます。しっかりしたスケジュール管理が必要になります。
注意していてもヒューマンエラーは必ず発生します。社員であれば会社によって守られていますので怒られはすれど、特に経験が浅い人などは仕方がないと割り切って次同じミスをしないようにすればよいのです。
あまりプレッシャーに感じず上司が責任を取ってくれるというゆったりとした気持ちで仕事に臨むほうが良い結果が出せると思います。
読んでくださいましてありがとうございます。それではまたよろしくお願います。
以上
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